五本目  信夫(しのぶ)

[意義]

暗夜歩行中、前方に相手が来るのを認めたので、我は道路の左側に体を移して 相手の近寄るのを待ち受け、相手の真正面の地面に我が刀先をつけて音をさせ、 相手が音に注意して立ち止まる所を、機を失せず側面より斬撃してたおす業前である。

[動作]

(イ)
正面に向かって進行中、相手の来る気配を感じて立ち止まり、 刀に両手をかけ体を沈めて前方を透し見る。
(ロ)
真に相手であることを認めたので、鯉口を切りながら半刀を抜きつつ左足を 左前方に移し、更に右足を左足の少し前方に踏み込む。
(ハ)
相手を注視しながら刀を右上方に抜き、体を右側に十分倒して刀を右前横に突き出し、 刀先にて地面を軽くたたいて音を出す。
(ニ)
音のした瞬間の相手の様相を凝視しながら、倒した体を引き起し、 直ちに刀を右前方より諸手上段に振りかぶる。
(ホ)
更に左足右足と相手の方に大きく踏み込んで斬り下ろす。
(ヘ)
右に血振るいし納刀する。